送電設備の点検を、自律飛行ドローンで実現へ! ブルーイノベーションの挑戦

環境やエネルギーのスタートアップ・コミュニティであるGreenTech Labsでは、GreenTech領域で、独自の強みを持ち、事業成長を加速させていくようなスタートアップが日本に増えることを支援していきます。

取り組みの1つとして、スタートアップに挑戦しよう、スタートアップで働こう、と考える方の役に立つよう、GreenTech領域で独自性があるビジネスモデルを持つ会社の紹介を行っていきます。

今回取り上げるのは、ブルーイノベーション株式会社です。


《会社概要》

【会社名】 ブルーイノベーション株式会社
【設立年】 1999年
【代表者】 熊田 貴之 氏
【事業】ドローンのシステムインテグレーション、安全飛行管理システム開発、ドローンの基幹プラットフォーム開発など


《ビジネス&ビジネスモデル

電力を届けるためのインフラが送電線、鉄塔などの送電設備です。おもに屋外にあり、風雨にさらされ、破損劣化することもあり、また経年劣化も必ず起きます。それをいかに発見していくかという課題は、電力事業者にとっては、安定した電力インフラを維持する上で、極めて重要です。
 
たとえば東京電力は、送電線など高所の電力設備点検のために、従来は作業員による昇塔点検をおこなっていました。送電線を支えるもっとも高い鉄塔は地上149メートルで、およそビル40階分の高さに相当します。高所作業を担当する電工という専門職が送電線まで上り、宙乗り点検と呼ばれる目視確認が基本となっていました。しかし、この方法は送電線の電気を止めなければならず、さらに作業時間がかかります。人命を危険にさらすリスクもありますし、また当然多くの人件費もかかってきます。
宙乗りの代わりに、地上からの高倍率スコープによる点検と、ハイビジョンVTRを搭載したヘリコプターによる点検も導入してきました。この2つのシステムによって点検作業のコストは削減できたものの、それぞれ克服が難しい課題がありました。ヘリコプターは飛行費用がかかる上に熟練したパイロットの技術が必要でした。高倍率スコープは人里離れた山間部では設置場所が難しいという課題です。
 
そこで、これらの欠点を補い、安全でさらにコストを削減できるシステムとして着目されたのがドローンでした。
2014年10月からはドローンを操縦者が飛行させ、設備状況の確認を開始。効率化、操縦者不足という課題を解消するために、自律飛行できるドローンによる点検の導入が不可欠となってきました。
 
こうした中で、ドローン・インテグレーターのブルーイノベーション株式会社は、電力事業者と課題解決に取り組むパートナーとして、2017年3月、自律飛行するドローンが電力設備を自動点検する「ドローン飛行支援システム」の共同開発について東京電力と合意しています。
 
同社は、東京都立産業技術センターと「送電線・鉄塔点検用ドローンナビゲーションシステム」を協力して開発しており、実証実験を2019年から開始します。
このシステムは、自動で点検計画・飛行ルートを作成、オフラインでも使用可能、簡単な操作性、といった特徴を持っています。
 
送電設備点検の自動化による効率の向上は、インフラ劣化と人材不足が進んでいくと予想される日本においては、きわめて大きな社会課題解決になるといえます。また、これから海外でも共通して起きてくる課題ともいえます。同社のサービスの市場は拡大が予想されます。
ドローンを活用した送電設備自動点検の統合したシステムを開発し、導入提供までを行うことのできるブルーイノベーション株式会社は、ユニークで強力なエネルギービジネスを展開していくでしょう。

記事執筆日: 2019年1月25日

※この記事は、上記の日にち時点で得られた情報に基づき、GreenTech Labsが執筆したものです。
このサイトにアクセスされた時点での、取り上げた企業ならびサービスなどについての最新情報を提供するものではありません。
ご了承ください。

※記事に使用した画像は、東京電力サイト動画からの引用です。

執筆責任者: 高橋昌紀(GreenTech Labs コミュニティマネージャー)