「常に柔軟に」「前向きに」。文系出身でもエネルギー業界でビジネスを築くキャリアマインド

まーきち@エネルギー業界1年生の先輩探訪:第1回
エネルギーアンドシステムプランニング株式会社 加藤真一さん(前編)

GreenTech Labsでは、エネルギー業界1年生の「まーきち」こと佐々木将人さんをインタビュアーとしてお迎えして、エネルギー業界で働く先輩方に今までの歩みや苦労話、仕事に対する熱い想いなどを伺う「ひと」に焦点を当てたインタビュー企画をスタートします!

 

今日ご紹介するのはエネルギーアンドシステムプランニング株式会社の副社長をしておられる加藤真一(かとうしんいち)さんです。

加藤さんは1999年に東京電力に入社され、14年のキャリアを経たのちに丸紅でメガソーラーの開発や運営、ソフトバンクで家庭用小売電気事業の立ち上げなどをされました。

そののちエネルギーアンドシステムプランニング株式会社の副社長として、新電力やエネルギー業界向けに国の制度情報レポートの配信や解説をされています。また現在では「エネinチャンネル」というYouTubeチャンネルを始められ、「カトシン先生」として初心者にもわかりやすい電気制度の配信をされています。

本業は工場などのお客さまへの省エネや脱炭素化の支援です。

 

 

そんなたくさんの新しい取り組みをしてこられた加藤さんですが、

「でも私、もとは超文系で、省エネなんて実はわからなくて。」

という驚きの言葉。

エネルギー関係に詳しくなかった方がどういう人生を歩まれてきたのか、文系職でも、新しい時代を築いていくためにどういうマインドを持っていけばいいのか、加藤さんの魅力を通じて迫ります。

たった3年の本業のお仕事

――東京電力に入社されてどのようなお仕事をしていたんですか?

最初は営業所に配属されました。当時はコールセンターなんてなかったので営業所ごとに電話を受けていて、引っ越しやアンペア変更の依頼、苦情を聞いたり、電気の検針業務をやったりしていました。
入社3年目からは東電が新事業で立ち上げた会社に出向したのできちんとした電気事業の経験はありません。出向後も電力会社の新規事業を立ち上げる部門にいました。

 

なんでもかんでもやらされた出向期間

――出向期間中のことを教えてください!

いろんなことをやっていましたね!電力会社って営業は営業、コールセンターはコールセンターみたいに分業制なんですよ。でも出向中はなんでもかんでもやらされました。
企画立案から営業から、債権管理までやってました。私のいた会社は原油価格が高騰して事業から撤退したんですけど、そのときに事業再建計画とか立てたり、事業承継業務を経験しました。普通に電力会社にいたら経験できないようなことを経験できたと思いますね。

――すごい!楽しかったり苦しかったエピソードはありますか?

自家発電機を設置するサービスをやってた時に東電のエリア外、東北のお客さまと関係持てたことが嬉しかったです。我々が関係を持ったおかげで他のグループ会社が関係を持てたり、グループとしてつながりを持てたのは良かったです。
逆に苦しかったことはほぼほぼすべてですね(笑)
中でも部内を通すのが大変で。必ず言われるのは東京電力としての意義は何か、なんでこれをやってるのかをきちんと定義付けるのは大変でした。

出向期間中にたくさんの事業に触れた加藤さん。それを乗り越えられた背景にはどのようなものがたりがあったのでしょうか。

 

ゼロベースでも、勉強と実践を並行する

――加藤さんは文系出身だそうですが、弊害はなかったんですか?

弊害ありまくりでしたよ!だけど、財務諸表読んだり、事業計画を書くにあたっての基本的な知識だったり会社法だったり、発電機の知識だったり、そういったことはその業務を行うようになってから結構勉強させられましたね。
中には部署異動したら専門書買い込んで勉強してから行く人もいましたけど
私は「すいません分かりません!勉強します!」ゼロベースで入り込んでやりながら勉強してました。
自分のやってる事業がビジネスに関わるたびにその都度勉強して、並行しながら実践もやっていくと身についちゃいます。
私は財務諸表とかも大して読めなかったのが読めるようになりましたし、東電の事業開発部に所属していた時はリーマンショックの頃だったので不動産関係など事業不振となるところも多く、それが縁で事業再生も勉強しました。この事業再生の勉強していたことが震災後の業務に役立ったこともあります!

――じゃあ仕事は「こういうビジョンがあってこういうふうに実現させたい!」っていうよりも経験していく中で柔軟に動かれてきたんですね!

はい!2000年に電力の小売部分自由化が始まったときに営業の現場にいなかったので、競争環境ってどんなものか知りたくて社内公募で手を挙げてグループ会社に出向することにしました。その時々の状況から見ていてこれがいいんじゃないか、と自分で変えていきました
そして2011年の震災の事業整理が落ち着いたのをきっかけに外から電力業界見ながら新しいことできないかなと思い、丸紅に転職しました。丸紅は水力発電所を運営していて再エネに力を入れていたので再エネ関係の業務ができるかなと思って応募しました。

柔軟に勉強と実践を並行されてきた加藤さん。この柔軟性を生かして第二、第三のキャリアを歩まれていきます。

 

小さい種をまいて、大きく展開する。

――今やっておられることを教えてください!

大きくは2つですね!
1つ目は新電力に向けた電力制度のフォローアップ事業です。新電力は、自社内で制度をフォローアップする担当をなかなか確保できていないのが実態で、制度を分かりやすく解説して欲しいというニーズがあることに気付き、1年半ほど前に立ち上げました。
2つ目は「エネinチャンネル」というYouTubeチャンネルを作って電気制度の配信をしています。

――YouTubeもやられているんですね!

はい!社長の発案で毎月一回やっているんですけど、資料やシナリオは私自身で作っています。社長の知り合いの声優事務所にも協力いただき、声優さんにアシスタントとして出演していただいたり、新しい取り組みをしながら気づきを得ています。

 

加藤さんの出演するYouTubeチャンネル「エネinチャンネル」の様子。

――これまでたくさんの取り組みをされてきたと思います。新しいことを始めようって時の不安とか感じたりしないんですか?

大企業にいるときはリスクとかの不安はありました。でも今はとりあえずやってみるか。やってダメだったら止めちゃえばいいんじゃない、ぐらいの気持ちでやってます(笑)
まずは小さくやっていくことが大事だと思っています。

――すごい!何か印象的なエピソードはありますか?

工場のデマンド管理などですかね!
工場など企業ではピーク需要の高さで基本料金が決まるので「一定の使用量を超えないようにアラート機能をつけたい。でもデマンドコントローラーをつけると高い。どうしたらいいか。」って言われたときにAmazonでカメラ買ってきてメータの前に設置して撮影して、その状況をタブレットで見えるようにしました。
こんなIoT機器にもならないようなお手製のものでお客さまがめちゃくちゃ喜んでくれるんですよね。でもこれでうまくいったら「次もっと大きな展開お願いします!」と持っていくことができるじゃないですか。
こうして小さく種をまいて、大きく展開すればいい
だから今の社長も「何十万もするIoTじゃなくて、まずはチープIoTでいいじゃん!」と言ってますね!

 

専門性がなくても新しい事業に挑戦する。その土台となる2つのマインド

――最初は文系出身で苦労されたと思います。ここまで来られた中で根底にある想いはありますか?

2つあって。
1つは「常に柔軟に」「前向きに」です。
興味があればチャレンジしていくのはそうですし、これはできませんっていうのは極力言わないようにしてましたね。違う分野でも、ちょっと勉強したり、考えればできないことはないと思っています。なのでアンテナを高く張って勉強をしています。

――最初関心を持つって言っても自分でアンテナをどこに張ればいいか難しいと思うのですが・・・

私の場合は聞いてましたね。聞けば教えてくれますし、わかんなかったら他の部署にいる人を紹介してくれたりもしました。会社だと仲間(先輩、同期)がいますからそういうのはどんどん活用していけばいいと思います。人は使うのはタダなんで(笑)

――すごい!とても前向きなんですね!もう1つは?

「調べて」「考えて」「発信する」ことですね。
私の時の新人研修ではディベートが必須になってました。二酸化炭素削減には原子力を稼働させればいいのか、再エネを導入すればいいのか、とか今にも通ずるお題もやりました。

――じゃあこの時の研修が今の土台になってるんですね!

そうですね。今はYouTubeで電気制度について配信したりしています。
制度を調べる(調べる)⇒事実を知ってもらって網羅的に簡単にわかりやすくまとめる(考える)⇒調べてたものを形にして発信する(発信する)
これによってフィードバックをもらってまた改善する、っていうPDCAを回しています。

常に前向きに未来を切り開く加藤さん。最後にこれからの仕事への想いを語ってくれました。

 

――これからどんな想いで仕事をしていきたいですか?

よりお客さまに寄り添って成果が見えるような形ができればなと思っています。
今はレポートを配信してフォローアップしていて少しは役に立っているとは思うのですが、その先に入っていかなければならないというのはあります。本業の方では大手の工場の脱炭素化・省エネ化の支援もやらせてもらっていますが、2030年までの計画なので、一緒に汗をかいて、成果を届けたいというのがありますね。

 

オンラインで実施したインタビュー当日の様子。右上が加藤さん。

――すごい責任感ですね。

はい。昔、丸紅にいたときに上司に言われたことがあって。
「評論家にだけはならないように。」です。
CSRなのかビジネスなのか、とにかく自分のやったものにはしっかり責任を持つようにしないといけないと思います。

 

加藤さんの話を聞いて、最初は経験がなくても、調べて、考えて、発信して、PDCAを回していきながら、活動や事業を作る土台を育むのだなと思いました。また、土台を育んだら活動や事業を形にする中で自分がちゃんとやったことに責任を持つ

「こうあるべき」と意見するだけじゃなくてお客様の成果に行動で寄り添っていく、そんな一貫した責任感を加藤さんの言葉から感じました。

僕も文系出身のエネルギー会社1年目ですが、わからないことを日々勉強して、形にする日を見据えてエネルギー業界に向きあっていきたいと思います。

 

(次回、電力制度や電力ビジネスの新しい事業機会について加藤さんにお話しを伺った後編につづきます)


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記事執筆日: 2020年11月24日

執筆責任: GreenTech Labs